経営お役立ちコラム
デジタルマーケティングを行う前に考えないといけないこと(その2)

事業者としてデジタルマーケティングを行う前に考えないといけないことを3回にわたってお伝えいたします。

(4)短期的な成果を期待しない

デジタルマーケティング施策をマーケティング事業者に依頼して「あとは全て任せます」というわけにはいきません。狙った成果をすぐに出せるほど簡単なことではないからです。自社でメインの舵取りを行うことが大切です。事業者と相談しながら、仮説と検証を繰り返し、いわゆるPDCAサイクルを回すことで成果を出していくことになります。

・Plan(計画)……計画を立て、課題、目標、仮説設定する
・Do(実行)……立てた課題を実行、検証する
・Check(評価)……実行・検証の評価をする(ここでうまくいかない)
・Action(改善)……気づきや課題を踏まえて改善する

短期的に成果がでないことは当たり前ですので、社長は責任を自社の担当者やマーケティング事業者になすりつけてはいけません。特に、ITに詳しいというだけで社員をデジタルマーケティング担当にするのは間違いです。そういう意味で社長のデジタルマーケティングリテラシーが問われます。

(5)まずは当たり前品質から

世の中には、大企業から中小企業まで、同業他社が同じような製品やサービスを出しているケースが多くあります。
売上や利益を上げるためには、まず他社との差別化が必要であると考えがちです。もちろん、明確に差別化ができることに越したことはありませんが、その前にもっと大切なことがあります。

それは、当たり前の製品やサービスが最低限品質担保されているかどうかです。世の中には「QCDS」という言葉がありますが、一番重要なのは「Q」の品質です。最低限の品質を優先することは、顧客の期待に応えるための「当たり前品質」を提供し、顧客との信頼関係を築くうえで重要な要素です。

「当たり前品質」は、顧客が当然満たされているべきものとして期待する最低限の品質基準です。品質を最優先するとは、ある程度の費用や時間がかかったとしても、顧客に満足してもらえる品質の商品やサービスを作ることを意味します。

  1. ・Quality(品質)……品質の担保
  2. ・Cost(コスト)……価格の妥当性
  3. ・Delivery(納期)……納期の順守
  4. ・Service(サービス)……顧客への適切なサービス・サポート

(6)まずは認知度をあげることから考える

消費者の商品・サービス選定から利用や購入に至るまでをパターン化したもので、インターネット上での
買い物を想定した購買モデルの1つに「AISAS(アイサス)」というモデルがあります。

  1. ・Attention(注目・認知)……ニュースや広告・SNS等のメディアを通じて、商品・サービスについて知る
  2. ・Interest(興味・関心)……役に立つかもしれない等、商品・サービスに興味を持つ
  3. ・Search(検索)……使用感や値段、口コミなどを検索エンジンやSNSで調べて購入するかどうかを検討する
  4. ・Action(購買)……自分にとって価値があると判断した場合に購入・申込をする
  5. ・Share(共有)……期待以上の価値があったと感じた場合、SNSなどでシェア・拡散する

顧客のほとんどが、商品・サービスを購入する際に、知らず知らずのうちに上記の流れをたどっています。商品に興味・関心を持った消費者は、すぐに購入するのではなく、インターネットを使用した「Search(検索)」を行います。また、購入後はSNSで「Share(共有)」するという、インターネット時代に即した購買プロセスを踏むのが、AISASの特徴です。なかでも「Share(共有)」を上手く活用できれば、消費者間でAISASを循環させることも夢ではありません。

デジタルマーケティングのうち、特にSNSやGoogleなどへの広告配信では、「Share(共有)」からあとの工程を意識していますが、まずは「Attention(注目・認知)」から考えないとうまくいきません。

デジタルマーケティングを行う前に考えないといけないことは、次回が最終回となります。


第1回:デジタルマーケティングを行う前に考えないといけないこと(その1)
第3回:デジタルマーケティングを行う前に考えないといけないこと(その3)


<<執筆者>>

山森 直樹
中小企業診断士、技術士(経営工学部門)、1級販売士(日本販売士協会 登録講師)
前職では製造業の研究所で研究開発、情報システム、技術企画等に従事。現在、情報技術や経営工学の知識を活かし、経営戦略や戦術の策定にとどまらず、教育研修やオペレーション業務効率化まで幅広く支援している。伴走支援については、双方で課題や問題点をきちんと自分事にした上で、基本的な知識を理解・活用して継続することを徹底している。

25/01/31 18:00 | カテゴリー:, ,  | 投稿者:広報部 コラム 担当

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