経営お役立ちコラム
アウトソーシングと内製化の見極め

今回から3回の連載で「経営者の意思決定のポイント」として
私なりに重要と感じている3つのポイント、「外部リソースの活用
の意思決定」、「数値に基づく意思決定」、「投資の意思決定」
について述べさせていただきます。このコラムを読んで皆様の
ひとつの参考又は中小企業診断士として活用できる一助となれば
幸せです。

第1回は「アウトソーシングと内製化の見極め」です。このテーマは、
日本企業を取り巻く経営環境が国内消費の低迷や円高による輸出の
低迷など厳しい状況になっております。経営者としては経営資源を
より有効に活用することが必要となっている中、内部と外部の
リソースを上手く使いわけることの重要性を理解していただく
内容となっています。

なぜこのテーマを取り上げたかと申しますと、私が勤めていた
会社(以下、A社といいます。)では、会社方針として全ての業務
について出来る限りアウトソーシングしないことが業務を設計する
上での前提となっており、この会社方針の納得性に気付いたためです。

このような会社方針は、アウトソーシングにはデメリットもある
ため、それを考慮した上で活用しようという考えから生まれました。
その考えを3つに整理してご説明します。

一つ目は、A社ではコアコンピタンスがない分野であっても事業
する上では必要な業務を外部に丸投げすることは、外部業者をコン
トロールすることができなくなり、経営上のリスクとなるという
考え方です。具体的には、A社では、過去に情報システム運用を
外部業者に丸投げになっていましたが、システムに不具合がある度に
不具合の問題がどこにあるかが社内では分からず、外部業者対応と
なり、業務全体が停滞することがありました。そこでA社は情報
システムをリプレイスする際にはA社主導での構築を実施し、その
運用を完全自前で実施した後に一部運用を外部業者にアウトソーシング
することになりました。

二つ目が、スピード感が失われてしまうという考え方です。
アウトソーシングしている場合には、外部業者のリスク回避の考え方が
働き、言われたことを正確にこなすことには優れていますが、
イレギュラー事項が発生した場合は顧客の回答を待った上での対応
となってしまいます。具体的には、A社では、既存事業の拡大や新規
事業の展開など日々新しい業務が増え、かつ手探り状態で業務を
進める必要性が多く存在しました。そのため、重要性の低い業務に
おいても日々変化する業務に適した設計や運用方法の変更を行う必要
がありました。しかし、外部業者は不具合の発生などを理由により
迅速な対応を取らないケースが多々ありました。これによってスピード感
が失われ、大きな機会損失を生むことになりました。そこで、
外部業者に頼るのではなく、自前で迅速に対応できる体制を構築する
ことになりました。

三つ目が、通常はアウトソーシングするほうが得策な分野であっても
コアコンピタンス分野の業務と合わせて実施することで効率的になる
という考え方です。具体的には、A社は販売促進としてチラシ配りを
積極的に行い、その効果はとても高い販促ツールとなっています。
その販促用チラシ製作には、1人が専任で印刷と折畳みの作業を行い、
営業マンの要望に応じて迅速に配れる状況まで作業を進めています。
しかし、チラシの配布は毎日決まった量を行うことはなく、その
業務量は不規則です。専門性がなく、社内でやることで高コスト
になる名刺製作をチラシ製作担当者に業務の空き状況に応じて
業務を任せることにすることで業務の繁閑がなくなり、担当者
の業務量が常に一定水準となりました。

このように一義的にコアコンピタンスがない分野については外部
リソースを使うことで内部の限りある経営資源を効率的かつ有効的
に活用でき、また安く専門性を活用することができるので、積極的
にアウトソーシングを活用すべきという判断に陥らないことが必要
です。アウトソーシングを活用する場合には、アウトソーシングの
デメリットを把握し、他の業務と統合することで効率的になるかを
検討し、その結果、アウトソーシングするのであればそのアウト
ソーシングした業務をコントロールする体制ができてこそ、アウト
ソーシングを有効に活用できると考えます。

原辺 正守

11/12/19 00:35 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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