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7.社団法人中小企業診断協会
社団法人中小企業診断協会は、昭和31年第1回通常総会を丸の内交通安全協会講堂で開催した。中小企業診断実務講習会を開催し、中小企業管理者夏季講座を能率大学で開催した。日本造船関連工業会委託診断を実施した。中小企業診断員研修会を開催した。

全国に支部設立が相次ぎ下記のような支部が各地に誕生した。
●昭和33年設立:東北支部、 九州支部、 北海道支部 
●昭和34年設立:千葉県支部、四国支部、 中国支部、東京支部、岐阜県支部、広島県支部、長野県支部、愛知県支部、大阪支部、 兵庫県支部、京都支部、 福岡県支部、埼玉県支部、
 (他、中小企業指導者養成講座開催、中小企業経営指標、企業診断事例集等を出版した。)
●昭和35年設立 茨城県支部、新潟県支部、群馬県支部、岡山県支部、長崎県支部、山口県支部
 (他、支部が続々誕生した。企業診断ハンドブック<上下>刊行)
●昭和38年 中小企業診断員(当時は士ではなく員) 第1次試験実施(東京・大阪)

「中小企業の経営指標」を作成したことにより中小企業診断に対して一定のガイドラインの参考資料を確定したことになる。作成に当たって尽力された方は徳川宗広・中谷道達・並木高矢・川村助雄・青木茂男の諸氏である。その方の経営指標に対する考え方の一端が下記座談会という小論において窺われる。

 「中小企業の経営指標」20年---------その回顧と展望:(座談会)
 座談会の名称は回顧と展望となっているが、主なる点を拾えば次の通りである。

1.経営指標の特徴点
 他にもいろいろな統計資料が出ていた。
   日銀の企業規模別経営分析----従業員50人以上零細企業
   通産省の我が国企業の経営分析---資本金10億円以上の上場企業360社
   三菱総合研究所の企業経営の分析
   大蔵省の法人企業統計-----------金融・保険を除く営利法人 範囲は広いが難
   国民金融公庫の小零細企業の経営分析-----------従業員50人未満の製造業と建設業 小零細

 「中小企業の経営指標」は調査の範囲が中小企業基本法によっている。行政の対象としている中小企業の範囲を全部カバーしている。209業種とその範囲も広く中小企業の診断に、或いは中小企業の経営者がみずから経営効率を判断すると言う場合にも最も適切なものと考えられる。」

2.体系立てについての疑問
 分析項目の分類で総合、財務、生産、販売、労務というようになっているが、実際問題として生産、販売、労務という関係に分離することができない。つまり生産というのは生産管理だけの業績を反映し、販売というのは販売管理だけの業績を反映するということにはならない。例えば、加工高にしてもこれは売上から材料費と外注費を引くわけですから、労働生産性という意味からすると物的生産性なら宜しいが、価値的生産性となると売値が上がったり下がったりする影響も反映する。或いは材料の相場も上がったり下がったりすることを考えれば、営業的な面の成績も出てくる。その点を上手く使い分けないとこれだけで生産なり、販売なりの業績を分離して判定することは難しい。それで売上をベースにして資本利益率を中心にして比率の関連性で展開している。そして時系列的にトレンドを見れば良い。

3.回転率の問題
棚卸資産回転率の問題は適正在庫。
原材料回転率と仕掛品回転率であるが、大半が原価計算が明確に行なわれていないので、材料の量とか仕掛品の量がつかめない。不正確になっている可能性がある。また回転率を上げるには分子を小さくすればよい。材料を少なくすればよい。材料が少ないということは材料切れということもある。適性在庫の考え方が重要である。これがなかなか分からない。

4.数字の見方・読み方の問題
中小企業の中でも零細企業は工業よりも商業の方が多い。経営者名義の固定資産を会社が借りていることがかなりある。これは注意しないと固定資産が過小に表れて比率に影響してくる。これはばかに固定資産回転率が良いということになる。 また下請企業の場合は売上高は加工賃収入が殆どという企業が多い。しかし、ある企業は一部材料持ちとか材料有償支給が混合されている場合がある。複雑でなかなか比率が出ない。例えば、製造業で固定資産が0で一方土地・建物が貸借勘定に計上されていないものがある。これは全部統計から除外している。しかし、診断にいったとき、この指標は使えない。

5.支払利息割引料の問題
この指標の特徴として一般の企業会計原則と違って支払利息割引料などの扱いも特徴がある。

ある企業診断にいったとき、営業利益でえらくマイナスであった。調べて見ると会計原則通りにやっていればかなり営業利益が上がっている。支払利息760万円払っているのに、受取利息が380万円ある。差し引きしてその差を引くと営業利益は黒になってしまう。支払利息を管理費に入れた理由は何の目的であったのか。当時の基準作成者は次のように語っている。

「中小企業のための原価計算の基準を作成した時、支払利息割引料をコスト外、営業外として見るのではなく中小企業の場合、コストの一つとして見るのが現実に適しているのではないかという経緯で一般管理費の方に入れたのです。企業の財務体質が中小企業にとっても大きな課題であり、一方においてコストとして支払利息割引料を見る場合と又金利自体を明確に区分して別検討する必要もあると思われます。これは今後の検討課題で如何がですか。」

 以上の通りなので必ずしも現状に固執する必要はないと思われる。

6.特定引当金の問題
税法上の単なる措置として流動比率や当座比率をだす時は特定引当金は流動負債にいれないで算出した方が正しい分析ではないかという意見があった。

7.外注工賃の問題
外注工賃という言葉は誤解しやすい。殆どの素材を外注先に頼っている。これを外注加工費で処理すると材料費がない。購入部品費に準ずるようなものなので外注部品としても良いという意見があった。

商法の計算書類規則、企業会計原則・財務諸表規則など改正されてきている。損益計算書の構造が企業会計原則でも当期業績主義的な経常利益の算定までで終わる損益計算書構造から包括主義の損益計算書に変わってきた。更に特別損益により純利益の概念にも注意を払わなければならないとかいろいろ今後の改正について論じられた。    

当期業績主義と相対する概念で当期の営業活動とは無関係の損益項目も当期の損益に違いないので、これを損益計算に含めて損益計算書を作成しようとする見解である。

当期業績主義において期間外損益項目として利益剰余金計算書に記載される前期損益修正や固定試算売却損益及び災害損失等も損益計算書に記載されることになる。包括主義による当期純利益は分配可能利益を表示することになるといわれる。現在では総て会計諸則は包括主義を採用することとなった。

経営指標作成者の1人としての川村助雄氏が社団法人診断協会45周年記念(平成11年10月)において経営指標に対する回顧録として次のように述べている。

「昭和52年度の大幅改正に参加したのでその改正時を中心としてその内容の一端を紹介させていただきたいと存じます。昭和52年度に改正された内容は次の通りであります。
 @各計数表に「標準偏差」欄を設けたこと。
 A製造業についても従業員規模別計数表を導入したこと。
 B企業別計数表を廃止したこと。
 C製造業・小売業についても受取勘定回転率Bを加えたこと(従来は卸売業のみ)
 D従業員1人当たり年間生産高等の計数は加重平均で算出するものと単純平均で算出するものと併せて掲げたこと。
 E巻末に業種別(中分類)の標準偏差、変動係数、信頼区間(95%)の付表(標準偏差一覧表)を加えたこと。
 なお、この時の検討の中で大きく取り上げられたのが標準偏差ですが、標準偏差については、個々のデータの値と平均値の差(編差)を夫々二乗して加えたものをデータ数「経営指標ではデータ数―1で算出」で除し、その平均根の値とした。

経営指標は昭和27年に出版されてから今日まで47年間の歳月が流れていますが、原価指標は当初、中小企業のコスト解析表として昭和34年に出版され、一時中断しましたが、大方の要望に応え昭和39年に中小企業の原価指標として発刊され、以後、毎年原価の資料として中小企業診断士の企業診断の参考資料として役立ってきた。しかし、これら資料を活用する場合には調査対象企業数が多く、平均値と標準偏差の割合を示す変動係数が小さければバラツキ度合いも小さく、その場合の平均値は標準資料としての目安となりますが、業種によっては調査対象企業数が少なくないものも含まれており、これらの業種は直ちに標準資料としての目安にはなり得ないことを念頭に入れて活用を行なうことが必要であります。

過去において、診断士になりたての人が、この経営指標を直ちに標準と思いこみ間違って解釈を行なった人もおられたことが思い出されます。いずれにしてもこのような統計資料を用いる場合にはその調査の概要なり、計算した算式なりを充分に理解して活用することが大切であります。場合によっては分析の目的と活用を考えて算式資料を組替えて必要な数値を出し直すことも必要であり、このことは今も昔も何も変わってはおりません。」

 この頃から東京支部傘下の各支会も創立総会を開催し夫々商店診断を始めた。1例を挙げればつぎの通りである。
 ●城南支会
    昭和34年11月14日に城南支会創立総会を開催
    昭和36年2月14日〜16日 目黒区商店診断実施
    昭和36年2月16日〜18日 下高井戸商店診断実施

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