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以下が平成11年7月19日・中小企業政策審議会の「中小企業診断制度のあり方について」の答申である。論議の根幹となるものが最後の論点である。この答申の主旨が新制度の根幹である。
<今後の中小企業診断士制度のあり方について(論点)>
2.都道府県による診断・指導事業
これまで都道府県及び政令指定都市が中小企業者の依頼に応じて、その経営管理に関し、経営の診断・指導を実施したところ最近は都道府県等による診断指導事業は総体的に縮小し、それに係る中小企業診断士の割合も縮小した。
4.中小企業指導事業の見直しと中小企業診断士制度
経営革新、創業といった新たな政策に伴い、中小企業者や創業しようとする者に対するソフトな経営資源の強化充実を図るため、中小企業診断士は何が出来るのか。
5.経営の診断を担当する者の資格
新たな支援事業は、中小企業者や創業しようとする者からのニーズが高度化・多様化しており、中小企業診断士に対しても業界についての専門性、診断助言の即効性が求められることから、民間の専門家としての知見を更に活用すべきではないか。
※参考※
平成11年の答申の前、平成10年11月27日に中小企業庁高橋指導課長により中小企業政策研究会中間報告会があり、次のように大綱が決定されている。
<今後の中小企業政策の目標>
新たな中小企業政策の理念である「多様で活力ある独立した中小企業の育成・発展」に従い、以下の政策を今後の中小企業政策の目標とすることが適当である。
(1)競争条件の整備
中小企業の特性として「市場において知られていないこと」があげられるが、このような規制により、現実の市場においては、中小企業が資金や人材を円滑に調達できないケースが生じる。また、市場情報、技術情報等の経営資源については、市場が充分成立しておらず、企業規模に比し大きな情報収集コストをかけざるを得ない。また、市場機能が充分働くためには公正な競争条件が確保されることが前提になる。このためかかる市場機能の不充分な面を補完し市場における競争条件を整備しておくことが必要である。
(2)創業や経営革新に向けての中小企業者の自助努力支援
新規創業や新分野進出等の経営の革新に取り組む企業、新規技術等を基礎に急速な成長を指向する企業等については、上記のような市場メカニズムの下では必ずしも充分に解決できない問題により強く直面する。またこのような企業の活躍こそは、我が国経済の構造を変革し、活性化させていく原動力となっていく。このため中小企業政策としてはこのような意欲ある中小企業者の創業や成長、経営の革新へ向けての自助努力を積極的に支援していく必要がある。
(3)セイフティネットの整備
市場原理の尊重は必然的に市場で勝者と敗者を生み出し、外的環境変化に対応出来ない企業は淘汰される。又市場のグローバル化が進み、国際的な競争が激化する中でかかる環境の激変は生じやすくなっている。一方で中小企業は急激な環境変化に対して脆弱な存在であり、また実際の市場では労働移動の不完全性等のため多数の倒産が生じた場合、労動力の最適な配分は短期的には実現しがたい。
このため市場場機能の補完措置としてかかる環境激変による影響を緩和し、事業者の変化への円滑な対応を促すとともに市場での敗者に対しては再挑戦の機会を提供する仕組み(セイフティネット)を整備していく必要がある。
<政策実施体制>
イ.地域の自主性の尊重
事業実施にあたり、国と地方との連携は充分確保しつつも国の指針に基づく一律的な事業は見直し、より地方の特色、創意工夫が事業に反映されやすいような体制を整備していくべきである。
ロ.指導団体間の競争原理の導入
基礎的な相談、情報提供、高度・専門的なアドバイス、人材育成といった機能別の補助制度を拡充し団体の種類に関わらず、補助金の申請が可能な「機能別予算」を拡充するとともに、利用者による施策提供の団体毎の評価を行いその結果を基に予算配分することにより、諸団体間に競争原理を導入していくべきである。
ハ.受益者負担の導入
指導事業に対する受益者負担制度の導入は「自助努力の支援」の理念に合致するのみならず、企業の評価が激しくなる結果、指導団体側の責任意識が高まり、指導事業の質の向上につながる効果もあると考えられる。このため、サービスの質に応じて受益者に一定の負担を求めることが適当である。
ニ.情報提供体制の整備
技術,人材、国の支援、施策等に関する情報に対し、中小企業がワンストップでアクセスできるような体制を整備すると共に、ホームページの活用等も含めた施策利用者の立場に立った分かりやすい形での一元的な情報提供を行っていくことが重要である。
ホ.外部経営資源活用に係る民間専門家の育成
経営の診断に携わる者の資格制度となっている中小企業診断士制度を指導事業全般を担当する者の資格として位置付けるとともに、中小企業が専門家の経験と能力に応じた適正な対価でのサービスの活用が可能となるよう、ソフトな経営資源を提供する民間専門家を育成していくことが必要である。
へ.研修内容の見直し
研修事業については環境変化に対応できる経営者の養成に加え、新規創業を指向する大企業からのスピンアウトを意図する者を含む「個人」を対象とした人材教育、創業支援等を行う民間専門家の育成にも重点をおいていく必要がある。
以上が中小企業政策変更案の概要である。これを基にして、中小企業基本法改正案が平成12年2月に臨時国会に出され、中小企業基本法が中小企業支援法に改正され中小企業指導法の一部も改正された。
<中小企業指導法(改正)>
1.法律改正の目的
多様な中小企業の経営資源の確保を夫々のニーズに応じてきめ細かく支援することにより中小企業の振興を図ることは、地域における経済の活性化を促進するなど我が国経済の活力維持及び強化に重要な役割を果たすものである。経済の活性化が重要な課題になっている今日において非常に重要な政策課題となっている。
2.法律案の概要
国・都道府県の「指導」から中小企業の「支援」へ中小企業指導法から中小企業支援法へと名称変更した。
・ 地域中小企業支援センターの設立
・ 中小企業診断士制度の充実
※中小企業診断士制度については中小企業の支援施策を効果的に推進する観点から、近年の経営管理方法の進展を活用し、中小企業の様々な経営課題に応じた助言の能力等に関するより充実した認定制度とするとともに、都道府県等の中小企業支援事業に際して協力する者と位置付けることとする(従来は基本的に都道府県等の職員を対象としていたのを中小企業に対する民間の経営コンサルタントを対象とする制度に再構築) また能力検定のための試験等の制度の透明化を図る。
3.今通常国会に提出する必要性
経済再生のため緊急の問題である。
都道府県等に中小企業支援センターを設置する。
都道府県等が行う中小企業支援事業においては民間事業者の積極的活用を図るため指定法人(都道府県等中小企業支援センター)を設置する。
4.支援センター:支援の具体例
・ 国、都道府県による「指導」⇒民間能力活用「支援」
・ 各機関バラバラの支援⇒情報のワンストップサービス化に変更する。
(1)経営に係る診断・助言事業
民間コンサルタント、税理士等の民間事業者を活用しつつ事業を推進する。
・ 情報化の推進
・ 社債発行等を通じた資金調達(中小企業の自立的な資金調達手段)円滑化
・ 高度な産業技術を利用した製品の生産、販売等の促進
・ 省エネルギー、リサイクルの推進
・ 海外市場の開拓(国際化)
・ ISO9000の取得 等
(2)技術に係る助言事業
公施設、大学、知的所有権センター等と連携をしつつ事業を推進する。
・ 電算機を用いた設計技術の支援
・ 高度な産業技術の開発、又は、これを利用した製品等の生産技術の支援
・ 省エネルギー、リサイクルの推進に関する技術の支援等
(3)調査、研究及び情報提供事業
・ 上記の各診断、助言事項に関連する調査、研究,情報提供事業
・ 事業可能性評価委員会の運営
・ 退職経営者等による相談事業
・ 取引適性加・苦情処理事業 等
(4)県下の中小企業支援機関との協力(情報ワンストップサービス化)
・ 支援措置等の情報交換
・ 中小企業に対する民間の中小企業支援団体
(商工会、商工会議所、中央会等)等の紹介 等
<中小企業診断士の役割>
中小企業診断士の役割とは何であるのか。
中小企業支援法の立場からいえば、中小企業診断士制度の充実にあるように中小企業支援事業を行うに際して協力する者と位置付けることであり、基本的には都道府県の職員から民間経営コンサルタントを対象に制度が変更になった。そして民間経営コンサルタントは中小企業診断士をメインとするということである。
これが具体的にどう運営されるかはまだ明確ではない。(地域支援センターが設置されたことにより中小企業診断士は地域中小企業支援センターに協力して地域を活性化させるということが役割となったようである)これとは別に東京都並びに各区においても中小企業を支援する業務があり、これは地域中小企業支援センターとは別である。しかし、10年前と比べれば業務(受注量)の内容は各段に減少した。
私には中小企業診断士は基本的には従来とあまり変わってはいないように思われる。従来のものに地域支援センターが加わったように思われる。しかし、中小企業診断士の今後の能力は従来とは相当変わっていくことと思われる。試験が今より難しくなるのではないであろうか。(受験科目の数が増え難しくなった。旧試験科目受験合格者と新試験科目受験合格者とは知識において格差が出てくるものと思われる。しかし、経営コンサルテーションというものは知識だけではない。経験とその時代にあった経営思想、経営手法が決め手となる。試験科目の多くなったことに驚くことはない。常日頃の研鑚が重要である。)
一個人の中小企業診断士として中小企業の経営管理の向上を支援することにはやぶさかではない。しかし、中小企業診断士個人として考えた場合、一家の生計を賄えて又再投資ができるだけの収入を得ることが社会人として生きて行く条件である。
中小企業診断士のみ(主職業が診断士)の現状の少ない収入額だけでは優秀な診断士は恐らく参集しないであろう。現状のままでは運のよいまた能力があると思われる一握りの中小企業診断士のみが上述の生計を得るだけの収入を手にすることが出来るのであり、それでも実業家が成功して相当な富を得るような「金持ち」にはなることは不可能である。このままでは生計を立てるためには診断士の政府に対する協力即ち診断・指導事業に協力することは他の職業をメインとして持つことが必要であろう。(例えば、大学教授、コンサルタント会社勤務、公務員、企業定年退職者(今後は年金の減少で?)等)
<最終的に中小企業診断士の役割とは>
(1)生計費と再投資ができる収入を得ることが前提条件。
(2)中小企業支援法の中小企業育成に協力する。
(3)次いで中小企業(民間も含めて)の経営支援をする。
(4)出来れば中小企業のみならず、中堅・大企業の経営支援。
と言うことであろうか。(1)、(4)の条件を満たすのは現状では至難の業である。資金力、広範なコンサルテーション能力、営業販売力を持たなければならない。
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