経営お役立ちコラム
プロジェクトリーダー候補に習得させる2つのスキル

多くの社長が頭を抱えている悩みに「リーダー育成」があります。
「大きな仕事を任せることができる社員がいない」
「リーダーがチームを纏めることができない」といった嘆きの声を聞きます。
リーダー育成の教育は、時間もお金も手間もかかります。会社の将来を考えれば、
最重要課題と頭では理解していても手が回らないのが実情でしょう。
リーダー研修やセミナーは星の数ほどあります。
数十万円の費用がかかる合宿形式の研修も珍しくありません。
それほど企業は、リーダーを必要としているのです。中でも未経験の案件に対して、
メンバーを率いて遂行するプロジェクトリーダーは引く手あまたです。
ただし、プロジェクトリーダーには高いスキルが要求されがちです。
リーダーシップ、コミュニケーション能力、ビジネススキル、技術知識、
カリスマ性・・・これら全てを満たすリーダーがいたら、それはスーパーマンでしょう。
しかし、中小企業はスーパーマンの到来を長時間待っていられません。
そもそもスーパーマンが必要なのでしょうか。
私もコンサルタントとして10億~300億規模のプロジェクトを成功に導いてきました。
プロジェクト種別もシステム開発や株式公開、企業買収など様々であり、お客様から
要求されるスキルも様々でした。しかし、改めてプロジェクトを振り返ってみると、
実は成功に導くためのスキルは2つしかないことに気付きました。
2つのスキルを習得すれば、大概のプロジェクトを導くことができるのです。

今回のコラムでは「プロジェクトリーダー候補に習得させるべき2つのスキル」と
役立つ枠組みを、併せてお教えします。

スキル1.「段取り力」(枠組み:PMBOK)

プロジェクトが失敗する最たる原因は段取り不足です。
段取りの抜け漏れが無ければ、大きな失敗は避けられます。
しかし、この重要な段取りを経験と勘で作ってしまい、抜け漏れだらけで開始する
プロジェクトが多いのです。これでは成功はしません。御社のプロジェクトリーダー候補が
似た状態の場合は「PMBOK(ぴんぼっく)」を習得させてください。
PMBOKとは、プロジェクトを8つの観点(①目的・範囲、②スケジュール、③費用、
④人材、⑤コミュニケーション、⑥品質、⑦調達、⑧リスク)から統合管理する国際標準の
プロジェクト管理技法です。国際標準と言うと難しく感じますが、
要は「目的達成したが費用が大幅超過した」「スケジュールを厳しく管理し過ぎて
メンバーが倒れた」などの失敗が起きないように、視野を広く持つための枠組みです。
PMBOKによる段取り力はプロジェクトリーダーに必須のスキルです。

スキル2.「影響力」(枠組み:影響力の武器)

抜け漏れない段取りを考えても、メンバーの協力が得られなければ意味がありません。
そのために習得すべスキルは「影響力」です。発言力の強い営業部長に、リーダーを
任せる場合が多いのも頷けます。影響力のスキルを高めるためにはアメリカの心理学者が
考案した「影響力の武器」が有効です。他者から望むべき行動を引き出す6つの枠組み
(①返報性、②一貫性、③社会的証明、④好意、⑤権威、⑥希少性)で説明しています。
返報性(=受けた恩を返したくなる感情)を例にすると、普段から無償でメンバーに
尽くす姿勢を見せるリーダーは、ピンチの時にメンバーの協力を容易に得られるという
ことです。意識しないでも影響力が高い行動を取ることができるスキルが
プロジェクトリーダーには必要です。

プロジェクトリーダーの報告が8つの観点で考えられているか
行動は6つの枠組みに沿っているかに目を光らせておくことで
プロジェクト自体の成功だけでなく、リーダー育成にも成功にも繋がります。

長瀬 勝好

 

15/12/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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