経営コラム
経営者が知っておきたい「ブロックチェーン」のキホン

■ブロックチェーンとは? 
 仮想通貨のビットコインなど新しいインベーションを生み出すIT技術として、
ブロックチェーン(以下”BC”)が注目されています。今回はBCの仕組みと特徴、
新しいビジネスへの活用の可能性を取り上げます。
BCは「分散型台帳」といわれ、モノやお金の取引履歴をネットワーク上の
コンピュータ端末で分散して記録する技術です。
BCはどのような点で画期的なのでしょうか?通常、インターネットを通じた
取引では、金融機関やEコマース業者など、特定の組織や会社が集中的に参加者の
情報や取引履歴を管理します。シンプルで分かりやすい仕組みですが、データ保護
のために多額のシステム構築コストがかかり、管理者にも高い信頼性が必要です。
それに対してBCではこのような管理者が必要ありません。
参加者全体で取引履歴の情報をすべて共有するため、管理者がいなくてもデータの
本物性を確認できる仕組みだからです。
例えばビットコインでは、過去からすべての取引記録を10分刻みのデータの
ブロック(塊)としてまとめており、それらを時系列順に並べた取引履歴を
参加者全体で共有します。
その結果、集中管理が不要なのでシステム運営が低コスト、データの保管場所が
1か所ではないので障害が起こりにくく改ざんも極めて困難、という特徴があります。
BCが画期的な技術と言われる理由を整理すると、(1)管理者がいなくても、(2)参加者
同士が正しい情報をもとに直接取引できるシステムを、(3)安価に構築・運営できる
点です。

■ビジネスへの活用の可能性
 こうした特徴をもつBCは仮想通貨だけでなく、様々な新規ビジネスを生むと期待
されています。具体的には、
(1)送金、証券などの金融取引 
(2)土地登記、特許、電子カルテなどの情報管理
(3)遊休資産のシェアリングサービス
(4)サプライチェーンや物流の効率化
(5)管理者・仲介者不要の電子取引(いわゆる“スマートコントラクト”)
等の分野での活用であり、経済産業省は全体で67兆円の市場規模を予測してい
ます(*1)。

新規ビジネスの創出だけではありません。BCは中小企業経営にも大きな影響を
もたらす可能性があります。最も重要と考えられる点を2つ挙げておきましょう。
第1に送金コストの大幅な低下です。BCを用いた仮想通貨は、銀行やカード会社など
を通さずインターネットを通じて直接、相手方に送ることができます。その結果、
売上や仕入の送金手数料が安くなるのです。とくに海外送金手数料が大幅に低下する
可能性があり、小ロットの輸出入取引を行う中小企業にとって大きなメリットが生じる
でしょう。
第2にスマートコントラクトの活用。これはBC上に契約内容をプログラミングする
ことにより、管理者なしの自動取引を可能とする仕組みです。不動産売買を例に
すれば、契約書類の受渡し⇒資金の授受⇒所有権移転登記といった煩雑な手続きの
順序とそれぞれの完了条件を決めておき、人手に頼らず売買手続きを進める形です。
スマートコントラクトを活用できる取引や事務作業の範囲が広がっていけば、
資金力や人手に制約のある中小企業にとって、管理コストの削減や人手不足への
対応につながります。

BCが現実社会で普及するためには、まだまだ技術的、制度的な課題が残されています。
具体的には、(1)プライバシーの保護と情報分散化をどう両立させるか、
(2)リアルタイムでの処理が必要な取引にどう対応するか、(3)BCの運用手法や仕様を
どう標準化するか、などがあります。しかし、ご説明したようにBCによって管理者や
仲介業者を通さず中抜きで直接に当事者と実行できる取引や、人手をかけずに自動
処理できる取引が増えれば、取引コストの削減や事務作業の大幅な効率化につながり、
仕事のやり方にも大きな影響を与えることがわかります。
次回は、さらに具体的なBCのビジネスへの応用事例をご紹介し、中小企業にもたらす
ビジネス機会の広がりについて考えてみたいと思います。  

(*1)出所:「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」
(平成28年4月経済産業省)

大橋 功

17/07/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:column-post

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