経営コラム
マーケット・マルシェで東京のまちと商店街に賑わいを

英国ロンドンのポートベロ―・マーケット、コロンビア・フラワーマーケットなど、海外では日常生活に根付いたマーケットがまちの活性化や地域住民の質の向上に大きく寄与している例が多数みられます。こうしたマーケットを活用して、東京のまちや商店街に賑わいを創り出すカギは何か?

 

海外のマーケットでの成功要素を盛り込んだ埼玉県志木市の柳瀬川のマーケットは街の活性化にも繋がっており、地域の行政機関からも注目されております。柳瀬川のマーケット主催のYanasegawa ink代表で、日本におけるマーケット研究の第一人者として海外および東京のマーケットを研究、日本で実践に移されている(一社)国土政策研究会 公共空間の「質」研究部会ダイレクター 鈴木美央様(工学博士)より、まち・商店街の活性化のヒントを伺いました。

まず、ロンドンのマーケットは、週に一回など定期的に、継続的に開催され、地域に暮らす人々の日常に根付いております。ロンドンの行政機関はマーケットの効果を理解し、都市を形成する中心政策の一つと位置付けております。その理解すべき特徴的な社会的効果は、鈴木氏の分析によると、以下の3つが挙げられます。

 

第一の効果は、生活の質の向上です。マーケットは、地域住民とマーケット出店者との交流の場になり、地域住民同士では地域コミュニティーの場となっております。また、マーケットで地域の魅力が高まることにより、地域の価値の向上に繋がっております。

 

第二の効果は、経済的効果の創出です。定期的なマーケットにより来街者の増加が見込まれ、マーケット開催日には店舗売上は非開催日よりも大きくなっていることが確認されております。出店者は週末マーケットでの出店で商品やサービスが認知され、実店舗などへの来店に繋がるなど宣伝効果が得られております。新商品やサービスを本格的にリリースする前にマーケットでスモールスタートすることで顧客のニーズの把握も可能です。その上、出店者同士での交流により新たな商品やサービスの創出につながるなどビジネスコラボレーションの効果が期待できます。また、マーケットへの出店は実店舗保有よりも負担が軽いため、創業予定者にとってビジネスノウハウの蓄積に有効です。

 

第三の効果は、環境負荷軽減です。多くは近隣で生産される野菜や商品であるため物流による環境負荷が軽く、開催場所は公共交通機関や徒歩利用が多くCO2排出が自動車利用より少なく、環境に優しいという効果は見逃せません。

 

こうした3つの効果が並立しているからこそ、持続的な開催が可能となっております。

 

埼玉県志木市の柳瀬川マーケットでも、これらの社会的効果を発揮させる仕組みを随所に組み込んでおります。その結果、毎回数百人の来場者が得られたほか、出店者からも高い満足の評価を得られており、その成果に注目した地域内外の行政機関、地域機関からも問合せを受けるようになりました。

東京のまちや商店街への展開には幾つかの方策が考えられます。そこで、企画段階よりマーケットの3つの効果を十分に理解し、効果が発揮できるような仕組みづくりを行うことでイベントを越えた、まちの魅力を向上させる方策へと展開していくと鈴木氏は強調します。現在実施しているマーケットの開催場所を通行量の多い箇所に移して賑わいを演出し集客力を高めたり、地域のコミュニティーの場所として確立している公園や寺社の空間の活用をしてみたり、商店街で既存店は自店の前に出店し、空き店舗の前に外部出店者が出店して共存化を図ったりするなど、地域の特長を活かしつつ、海外マーケットにみられる社会的効果を発揮できる仕組みづくりを行うことが、活性化の方策の一つとして有効です。

小島 洋介

17/05/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:column-post

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